認知の歪みとは
”認知の歪み”とか”思考の偏り”とか言われているものがあります。
誇張的で非合理的な思考パターン
「何事に対しても憤りを感じる」「自分だけうまくいかないことばかり」「毎日傷つくことが起こる」などで悩んでいる、困っているなら知っておくといいです。
誰でも多少なりとも持っている”歪み”です。生きていく上で知っておくテクニックの一つです。特にうつ病の方にはこれを知ることで改善したり再発防止になったりします。双極性障害の方にも効果はあります。
”認知の歪み”を知る
カウンセリングをしてもらっていました。4〜5回ほど受けた後で臨床心理士さんから、認知の歪み(12の思考の偏り)の話が出てきて、これに私はツボりました。
これは気分障害の人の限らず、皆が知っていて損はない内容です。物事の捉え方を前向きで明るく軽く変えていくきっかけになると思いました。
(ここに出てくる”自動思考”というのは「何らかのストレスの出来事があった時、不快な感情と共に、パッと頭に浮かんでくる考えやイメージ」のことです)
思考の誤り(Aaron T. Beck、M.Dより改作許可)
自動思考には、妥当なものもあるが、妥当でないもの、あるいは部分的にしか妥当でないものもが多い。典型的な思考の誤りには、次のものがある。
1、全か無か思考(黒か白か思考、二分割思考)
状況を連続体ではなく、たった2つの極端なカテゴリーで捉えること
例)「完全に成功でなければ、私は失敗者である」
2、破局視(運命の先読み)
他の可能性、特に現実的にありそうな可能性を考慮せず、未来を否定的に予言する。
例)「私はこんなに混乱している。今後、私にとって物事がうまくいくことは2度とないだろう」
3、肯定的な側面の否定や割引
肯定的な事故の経験、功績、長所などを不合理に無視するか、割り引いて考える。
例)「計画は成功したが、それが自分が有能だからではない。単に運が良かっただけだ」
4、感情的な理由づけ
自分がそう感じる(そう感じている)から、それが事実に違いないと思い込み、それに反する根拠を無視するか、軽く見積もる。
例)「仕事は大体うまくいっているは、どうしても自分を失敗者だと感じてしまう」
5、レッテル貼り
より合理的な根拠を考慮せず、自分や他者に対して、固定的で包括的なレッテルを貼り、否定的な結論を出す。
例)「私は負け犬だ」「彼は悪人だ」
6、拡大視・極小視
自分自身、他者、状況を評価する際、否定的側面を不合理に重視し、肯定的側面を不合理に軽視する。
例)「”普通”と評価されたということは”自分には能力がない”ということだ」「”良し”と評価されたが、これは自分お出来が特に良かったということを意味するものではない」
7、心のフィルター(選択的抽出)
全体像を見る代わりに、一部否定的な要素だけを過度に着目する。
例)「こんなに低く評価されたということは”他の面では高い評価を受けている”、私の仕事が”どうしようもなくひどかった”ということを意味する」
8、読心術
他のより現実的な可能性を考慮せず、他者が感がいている内容を自分がわかっていると思い込む。
例)「私はこのプロジェクトの重要なポイントを理解していないと思っているだろう」
9、過度の一般化
現状をはるかに越えた大雑把で否定的な結論を出す。
例)「あの会合で居心地が悪かったのだから結局私には友達ができないのだ」
10、個人化(自己関連づけ)
他者の否定的な振る舞いを他のありそうな見方を考慮せずに自分のせいだと思いこむ。
例)「私がヘマをしたからあの修理士の態度はぶっきらぼうだっったのだ」
11、「ねばならない」「べき」思考(命令的思考)
自分や他人の振る舞い方に厳密で固定的な理想を要求し、それが実現しないことを最悪視する。
例)「最悪なことにミスをしてしまった。私は常にベストを尽くさねばならないのに」
12、トンネル視
状況に対して否定的な側面しか見ない。
例)「息子の担任教師は何一つきちんとできない。彼は批判的で鈍感でしかも教え方が下手だ」
認知療法実践ガイド基礎から応用までージュディス・ベックの認知療法テキストー 著;ジュディス・S・ベック
私の場合は2、3、4、6、7、・・・・など自覚があります。ほとんどですね!
中には部下にたいしても言ってきたし、自分にも戒めてきたこともあるのですが・・・
このような考え方のくせにハマっているぞと”まずは自覚すること”が、私にとってすごく助かりました。
事象も捉え方で同じ物事でも180度変わってしまうこともあると思えます。
雨が降っても「服が濡れる・・最悪!」と思う人もあれば、「恵みの雨」「この後気持ちよく晴れる」と思う人もいる。ある人に厳しく叱られたとしても「私のことが嫌いだから怒鳴ったんだ」と思うか「私のことを心配してアドバイスしてくれたんだ」「本当だったら無視されるところ、あえて気にして声かけしてくれた」と思うか。
気づいてからどうするか
【まずは気づき】
まず自分の思考の良くない点に気づきました。これだけでも大きなプラスになっているはずです。
認知の仕方の”癖”を知ることで、物事の捉え方で人生が変わるかもと思わせます。そして、うつ病や双極性障害の方は自分の”異常”さを知り病気への自覚を促します。
【認知の改善】
認知の歪みを特定し、これを打ち破る。
認知行動療法は、これを打ち破る技法を中核とする心理療法です。臨床心理士によるカウンセリングでやられているものです。この手法の部分はプロの手に委ねるしかありません。
認知の歪みを改善すつ方法を習えます。
【予防】
認知の歪みを改善する方法が身についたら、そういう状態になってきている時に自己対応できるようになります。
習った方法に基づいて改善する努力をしましょう。再びうつ状態になることを防ぐことができますし、症状を軽くすることができるようになります。
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