双極性障害は基本的に治ることのない病気です。長く付き合っていかねばならないことを覚悟するしかありません。その上で、症状が暴れないように、極端にふれないように抑える方法を取得するべきです。
治療は「休養と薬」。それが全てなのですが、カウンセリングを受けることで振り幅を少なくする、ふれ方を穏やかにするという効果はあります。
カウンセリングとは
カウンセリングとは「心理学などに基づいたスキルを持ったカウンセラーが対話を通じて相談者(クライアント/こちら側の人)の悩みや心理的な相談事などを解決するように導くもの」です。
これは治療ではなく”援助”であって解決するのはあくまで相談者(クライアント)本人。クライアント自身が「悩みの根本に気づき」解決に向かう考え方・行動に向かうようになる。
それをサポートしてもらう。
カウンセリングというとカウンセラーが催眠術とか対話の中での特殊能力でクライアントの心の闇の根本を探りあてそれを取り除く・・・などを期待しているとしたら、これは全く入り口から違います。
カウンセリングとはこんなものだった(形式)
カウンセリングの導入部分
主治医に心理療法をやってみたいと相談したところ、臨床心理士さんに繋いでいただき始めることになります。
心療内科とは別建物の普通の一軒家みたいなところにカウンセリングルームが設えてあって、椅子とテーブルだけの落ち着いたトーンの部屋です。
初めにカウンセラーの臨床心理士さんから、カウンセリングでどのようなことが行われるのか話を伺いました。
「ここは、あなた(私;クライアントのこと)ががいま困っていることに限らず、なんでも話をしていい場所」「プライバシーは必ず守るので、なんでも安心して話してくれていい」「話をしながら今後どのような方法で進めていくかを一緒に考えていきましょう」のような話でした。
まずは、今の仕事の状態とか、家庭の状態とか、今までの育ってきたこと、経験したことことなど、特にテーマも決めず取り留めもなく話をします。
一回50分。2〜3週間に一回のペースです。
カウンセラーはほとんど相槌を打つぐらいで、「〇〇だったんですね。」とか「その時どう感じました?」とのオウム返しのような反応ぐらい。ですが気がつくととにかく色々話してしまっています。時間が足りない。
こんなペースで、こんな時間の使い方で、何か効果はあるのかな。というのが当初の印象でした。
自己振返りの時間〜自己の問題の把握
そのうち微妙に変化が生じてきます。
◆カウンセラーへの信用・信頼
思い出したくない経験や「墓場まで持っていくぞ」と固くちかっった秘密なども含め、しゃべってました。カウンセラーのことを短期間で信頼してしまったようです。
カウンセラーが「秘密を絶対に守る」「ここで話したことは決して外へは漏れない」と始めに断言してくれたこと、カウンセラーの物腰・応答の仕方がそうさせます。
◆頭の中の整理
自分を知らない人に話をするのにわかりやすく話そうとします。すると話す内容を頭の中で整理してから話すようになってくる。気がついたら、ごちゃごちゃしていた頭の中が少し整理されてきたようです。
◆言葉にすることでの感情の具体化
とんでもない秘密は初めて口にします。言葉にしてみなければわからなかった感情や思い、それに対する他人の感じ方など発見できました。
その秘密に対して持っていた”重い”部分、これが幾らか軽減されたような気がします。
◆感情の整理
問われるままに、それぞれの経験した時に「どう感じたのか」「なぜそう感じたのか」を言葉にすることで具体的に考えるようになってきます。
◆自己分析
「自分はこの時こんな感情を持っていてこんな行動をとっていたんだ」「こんな点を問題視していたのか」など自分がどういう性格の人で、どう感じてどう行動する人なのか自分を客観的に見えるような気がしてきました。
などなど、いろいろ気がついたのですが、これは、カウンセラーがあえてカウンセラー自身の感情を言葉に出さず、”鏡”に徹することで、その鏡に映った私自身を見つめ直すことになったようです。
カウンセリングのゴール
私が「どこへ行きたいか」「どのようになっていたらいいか」「どうしたらいいのか」などの”目標”を見つけて、それに向かって何を実行するのか・・・
ということが明確になるところがゴールであるとのイメージです。そこまでカウンセラーに伴走してもらいながら進める。
ということなのですが、私はそこに辿り着く前にカウンセリングをやめてしまいました。仕事の都合でその病院に通えなくなったこと、躁転して諸々の治療の必要性を感じなくなってしまったことなどが理由です。
信頼関係のできた同じカウンセラーさんにお願いすることはもうできません。別のカウンセラーさんにまた最初から話を始めるのも抵抗があります。掘り投げてしまったままです。
私にとってカウンセリングは、上記のようないくつかの気づきがありました。それだけでもやった甲斐はありました。
双極性障害の治療であるないに関わらず、もう一度カウンセリングを受ける時間をつくれたらいいなと思います。
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