「隠し砦の三悪人」をまさかの映画館の大スクリーンで

よしなしごと

ありがとうございます!「午前十時の映画祭」

「午前十時の映画祭」本当にいい企画をありがとうございます。現在は、「午前十時の映画祭11」というタイトルで「デジタルで甦る永遠の名作」を映画館でで楽しめるイベントです。

「ローマの休日」「ベン・ハー」「俺たちに明日はない」「アラビアのロレンス」「カサブランカ」「エデンの東」「第三の男」「ニューシネマパラダイス」「サウンド・オブ・ミュージック」「シェーン」「サイコ」などなど。映画館で楽しめるようになるとはついぞ思っていなかった映画を映画館の大スクリーンと大音量で楽しめる。夢のような企画ですね。

どれも、生まれてきたからには見ておくべき映画の数々です。誰でも、日本の首都が東京と知っているように、徳川家康や聖徳太子などどんな人か知っているように、これらの映画も知っておくべきです。成人式や卒業式など誰でも体験しているように、これらの映画は体験すべきです。私だったら学習指導要領に入れますけどね。

「隠し砦の三悪人」とは

今回は、黒澤明の1958年映画「隠し砦の三悪人」です。

黒澤明初めてのシネマスコープ作品とのこと。映画ならでは。これを楽しむのは映画館しかないです!テレビでは良さがわかりません!

「七人の侍」の5年後、「用心棒」の3年前の作品。三船敏郎が、ちょうどこの2作品の間なんだなとよくわかります。しかし、この存在感は、今の俳優さんだと誰なんでしょうね。見当たりません。そんな役者さんのニーズがないんですかね。とにかく三船敏郎演じる真壁六郎太のかっこよさったら!強いし、頼もしいし、優しいし、迫力あるし、圧倒的な存在感!

この時代ですから当然白黒映画です。でも見ているうちに色の足りなさを感じなくなります。物語に映像に引き込まれて2時間半はあっという間でした。映画製作は1958年昭和33年ですよ!このエンターテインメント感は今のドカンボカンのCGグリグリハリウッド映画に引けは取りません。

百姓の太平と又七というずっこけ凸凹コンビが出てきますが、こいつらがずーっとトラブルメーカーで物語が進みます。イライラします。ですが、そこがこの映画のミソですね。お国の大事に関わっているのに、それをよく理解できずに最後まで金ほしさの強欲を貫いている。視線が完全に目の前だけです。偉いさんが勝手に戦(いくさ)を起こし、そこに彼らのような一般庶民が翻弄されている様を自虐的に象徴している。

侍大将・真壁六郎太などのかっこいい主人公は、彼らをうまく利用して苦難をくぐり抜け敵陣突破を成功させ自分たちの目的を果たす。と、冒険活劇なのですが、勧善懲悪でもなく、悪役と善玉がいるわけでもなく、凸凹コンビの周りでバタバタと大事が起こり、気がついたら元に戻っている・・というような。

一般庶民には誰が殿様だろうが、どこの城下だろうが関係はない。うまく食っていければ、あわよくば金が手に入って楽して生きていければそれでいい。そんな庶民がたまたま事件に巻き込まれてしまった。「あ〜あ・・俺たちなんだったんだろうな。これからも仲良くやろうや!」と彼らが思っている様子がおかしくて、その裏で起こっている活劇が痛快。なんとも変わった爽快感が味わえます。

姫様が短い逃走劇の中で、庶民の辛さや悲しみそして逞しさを感じ取る様子。

結局、活劇の裏にいる庶民が主人公なのかもしれません。

タイトルに「隠し砦の三悪人」ですが、どこにも悪人なんか出てきません?悪人ヅラのキャラもいません。見終わった後の爽快感に繋がります。

3人が縛られているところに現れる武士との4人の演技に緊迫あるワイドアングル、六郎太が馬に乗り両手で刀を握り八双に構えて逃げる敵兵を追い駆け抜けるシーン、国境を抜けて3人が疾走する遠景シーン。火祭りのシーンの高揚感!印象に残るいいシーンがたくさん。それを映画館の大画面で見れたという幸せ!

で、少しウンチクを・・・

デジタルリミックスされた映像とのこと。音声は多少辛いところはありましたが、映像はとても見やすく、フィルムのざらつき感もなく、フィルム送りのカクカク感は当然なし!私はいい時代に生きています。

隠し砦の場面の撮影は、西宮市の蓬莱峡で撮影されたとのこと。私の実家のすぐ近くです。六甲山系の花崗岩で岩が脆く崩れて露になったゴロゴロした山肌がどこか日本離れした奇妙な風景のところです。あの登りにくい山は、あそこならではです。

この映画は、スターウォーズのep4でたくさんパクられています。スピルバーグも公言している話ですが、R2D2とC3POの登場するシーン、太平と又七の2人が言い合いながらとぼとぼ歩いているシーンそのものです。気の強いお姫様と、周りに振り回されながらもなんとか危機を乗り越えるガサツだが頼れる侍大将も、レイア姫とハン・ソロのキャラ設定に似ています。最後に姫が礼装して登場、巻き込まれながらも活躍したヒーローたちに褒美を下賜するところもスターウォーズに出てきますね。

そういう目で見ると、スターウォーズファンとしては、この映画2度3度見れます。とにかくスターウォーズのファンはうんちく・トリビアが好きですから、この映画は、抑えていくべきですよね。私は抑えました!

午前十時の映画祭。これから「赤ひげ」「未来世紀ブラジル」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」「天使にラブソングを」など続くそうです。楽しみです。

平日に仕事もしないでこんな体験をさせていただいたことに感謝しないといけません。

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