双極性障害は以前は「躁うつ病」と言われていただけに、うつ病に躁状態が引っ付いたものと思われがちですが、「うつ状態」にはうつ病のそれとは違うより深刻な面があります。
それは躁の時期に仕込まれうつ期に災いをなす部分です。
うつ病の症状
うつ状態とは、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている状態です。
脳のエネルギーが欠乏した状態と言われます。脳のガス欠。脳がうまく働かない状態。脳のエネルギーを溜めるタンクがあるとして、それが空っぽのような状態になっているイメージ。
頭の中を渦巻くマイナスでくだらない思考は、そのタンクにたまろうとするエネルギーを蒸発させてしまう。
そして、そのタンク自体がも縮小されていき、満タンになろうとしてもすでに基本的なパワー脳エネルギーの余剰力も少なくなっている。
周囲の人からは「表情が暗い」「自分を責めてばかりいる」「涙脆くなった」「反応が遅い」「落ち着かない」「飲酒量が増える」などの変化が見られます。
そして「食欲がない」「眠れない、過度に寝てしまう」「体がだるい、疲れやすい」「頭痛や肩こり」「動悸」「便秘や下痢」「めまい」「口が乾く」などの体の症状がでます。
私の場合のうつ状態
双極性Ⅱ型障害と言われている私の場合ですが、うつ期には精神状態・行動状態に対して、体調の面からもこんなことが起こっていました。
- 気分の落ち込み
- 何事にも意欲がなくなる、喜怒哀楽が薄くなる
- 楽しいはずの趣味に全く興味が向かなくなる
- 表情が乏しくなる
- くだらないミスが増える
- 眠れない。寝付けない。眠れても中途で目覚めてしまう。目が冴えるというわけではなく、体はだるく眠たく寝たいが眠れない。
- 手汗
- 動悸
- ひどい肩こり 頭痛、耳鳴り
- 全身、湿疹が治らない
- 飲酒の量が増える
- とにかくだるい。疲労が溜まっていて休んでも疲れが取れるような気がしない
思い出すだけでもおぞましい・・・
いちばんおぞましいのは、頭の中で考えていることです。
最悪のケースになることばかり頭の中に渦巻いて「どうしよう、どうしよう」となるばかりで全く解決策が思いつかない。思いつかないというか解決策を考えるということそのものが欠落して「どうしよう」から抜け出せない。
そのうち何に「どうしよう」と思っているのかもわからなくなって、何かに追い詰められているような何かに閉じ込められてジリジリと迫ってくるような・・・
そういう頭の中の悲鳴をいくらかでも逃すように体が反応して上記のような症状が出てくる。頭の中がいっぱい胃一杯で溢れ出して体の不調が出てくる・・・というイメージ。
うつ病の状態と双極性障害のうつ状態の違い
このような、私のうつ状態はいわゆる「うつ病」と大きな差はないと思います。
続くことへの絶望感と再発への恐怖感
双極性障害II型は、軽い躁状態(ちょっと上がりすぎるぐらいの気持ちいい状態)とそれに比べて長い時期のうつ期を繰り返します。
私の場合は、”うつ”は繰り返しやってくる、あるいはいつまでも治らない感覚です。躁状態(軽躁状態)などあるのかないのか、少し気分がいい時(軽躁状態との自覚がない)があってもほんの数週間。あとはたいていは鬱ってます。
一生付き合っていかねばならないのは辛いです。逃れられない感がきついです。
今は薬で”普通”を保っている状態です。いずれまた落ちるのだという予感はずーっとあります。薬を飲んでいると言っても薬の効果をはるかに超える波が来てしまったら、確実にうつ期に落ちる!といつも予感しています。そして案の定、来てしまった・・・
うつ病は「心の風邪」「必ず治る病気」とか言われています。それに比べて双極性障害は「風邪」「治癒する」とは違うようです。
躁の時期にやったことへの終わらない後悔 自己否定
それにさらに躁の時期(多少気分のいい時期)にやらかしたことに対する「終わりのない後悔」が頭の中を占めてきます。
過去調子が良かった時にやったことを思い起こして「なんであんなことをしてしまったんだろう」「あんなことをしなければ今こんなになっていないだろう」とひたすら後悔する。
私の場合は上がりすぎてやらかしてしまうことがあまりないとは言えなくはないです。それに対する後悔はもとより、躁・うつの時期に関わらず過去にやってきたあらゆることに対して後悔ばっかりしています。
あの会議の時になんで大風呂敷を広げてしまったんだろうか、あの時あんな発言をなぜしてしまったのか、上司に偉そうに口ごたえしてしまったのか、家族にどうしようもないことを責めてしまったのか、なんで早々に転職を決めてしまったんだろうなど後悔します。終わってしまったことなのにいつまでも。
うまく行っていたことでも悪く解釈して後悔してしまう。それも終わることなく後悔し続けます。
そして罪悪感・自己否定感が大きくなってきます。自分は存在価値がない。自分という存在を消してしまいたい。消えてしまいたい・・・希死念慮につながりやすいです。衝動的に”超えて”しまう怖さがあります。
おぞましさを知っているからこそ
この「続くことへの絶望感と再発への恐怖感」「終わらない後悔による自己否定」この点がいわゆる「うつ病」と違うところだと思います。
そしてうつ病より自死へのリスクが高いことがあります。
双極性障害のうつ期のあのおぞましい気分・・・なんとかそこに落ちないようにしたいです。
診断を受けて知ったからこそ、最悪その状態になり希死念慮に苛まれていても、なんとか無事に帰ってこられるだろうと信じたいです。
自分の障害のことをよく知り、生活のリズムを整え、精神をすり減らすような環境を避け、服薬を続ける。これを心がけるしかなさそうです。
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