室生寺を訪れたのは何年前になるでしょうか。まとめて休みが取れる時期だったと思いますので真夏でした。20〜30年も前かと思います。
ですが、お寺の佇まい、特に五重塔の印象は今も鮮明です。
どんなお寺・・・
奈良県の山奥。俗世を離れた山林修行の場、凛とした空気があります。室生川にかかった太鼓橋を渡って門の前に立つと期待感とともに身が引き締まる感じがします。
女人高野と言われています。建物や境内の作り植物などそう言われてみれば優しさを感じますが、元々は空海や役小角などに由来する創建とか。その後も興福寺別院の役割でもあったようで、”硬め”の歴史であるようです。凛とした雰囲気があるのはそういうところから来ているのでしょう。
高野山が女人禁制だったのにここは女性も参拝できるとして「女人高野」と呼ばれるようになったそうですが、それも江戸時代になってからだとか。創建や歴史は”硬い”ものでも、優美な曲線を持つ建物や可愛らしい五重塔、石楠花など花の名所でもあることなど、優しさ、爽やかさを感じるのは不思議なところです。
境内に入ってしまうとふんわりとした雰囲気を感じますが、女人高野との先入観がそう思わせるのでしょうか。
ぶらぶらと境内を歩きながら弥勒堂、金堂と覗きながら上がってきます。ここは山奥のお寺だからでしょうか伽藍配置が法隆寺や薬師寺のように幾何学的ではなく変則的なのでぶらぶら歩きが楽しいです。
いらっしゃる仏像も素敵です
弥勒堂に釈迦如来坐像がいらっしゃいます(今は新しくできた寶物殿にうつされたようですが)。仏像フェチの私はこの方のファンです。仏像というと中性的な柔和さを持った姿が多いのですが、このかたはどっしりとした体格でお顔もかなりの男前です。
弥勒堂の本尊の脇に添え物のようにいらっしゃいましたが、私からするとこの方こそ真ん中でどっしりと構えていらっしゃった方が様になるような気がしました。
長い間お顔を眺めていると「いつまで見てんねん!お参りしたらさっさと次の人に譲れ!」と言われそうな厳しさを持っています。
その弥勒堂、金堂、本堂と国宝、重要文化財の仏像がいらっしゃいますが、そこは適当にスルーしていきます。
やはりこの五重塔
そして、1番のお目当ての五重塔。
日本で一番小さい木造五重塔です。高さは16mほど。興福寺の五重塔の1/3ほどの高さだそうです。本当に素敵です。持って帰りたいような可愛らしさ。もうたまりません・・・
一層から5層まで屋根のサイズはほぼ同じで頭でっかちな構造です。ですが塔身は上にいくほど絞られてバランスを取っています。頭でっかちのはずなのにそんなにバランスの悪い印象はありません。
石段の上に立っています。石段の下から眺めあげることも想定してデザインされているようです。
屋根は瓦ではなく檜皮葺き(ひわだぶき)です。瓦では重たくて成り立たないのでしょう。そこがまた可愛らしさを際立たせているような気がします。
西暦800年ごろの創建らしいです。法隆寺に次ぐ日本で2番目の古さ。1200年以上経っています。この時代にこの技術・この姿・・・デザイン設計した方の奇跡的なセンスと技量・知識に脱帽です。
五重塔は内部は複雑に木組で作られています。この小ささですから内部は複雑に密集して中には人が入るようなスペースはないでしょう。
平成10年の台風で杉の大木が倒れ掛かり屋根が破損。その姿をニュースで見た時は泣きそうになりました。心柱は無事だったので倒壊は免れたとのこと。2年ほどで普及工事を行いその姿が蘇ったようです。
その普及工事の際、内部にも入って修理する様子をテレビで見ましたが、大工さんの体の入る隙間もないような内部の木組みが見れました。破損は悲しかったですが、このようなことが見れたのはありがたかったです。
一生のうち一度は行っておきたいお寺
ずーっと訪れたいと思っていますが遠方に住んでいるためなかなか伺えません。奈良市街地からもかなり遠くですので何かのついでというわけにもいきません。かなり気合がいります。
ですけど、行かねばならないでしょう。私にとってほとんど義務です。でも今は体調回復が先なのとそもそも交通費も捻出できない状態です。
石楠花のシーズンも素晴らしいでしょうが、紅葉の季節、雪景色など訪れたいです。さぞや素敵だろうと思います。そういう景色をいずれ見に行くぞと思い巡らすのも楽しみでもありり治療でもあるのでしょう。
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