Ry Cooderの音楽の中での立ち位置
Ry Cooder経歴などはwikimediaなどが詳しいですが、ルーツミュージックに詳しいブルースミュージシャン・ギタリストとか言われるんでしょうね。
ですが、一言では言い表せられません。
音楽のジャンルからすると、分類しにくいところにいます。あえて言うと、ロック、ブルース、R&B、テックス・メックス、カントリー、ゴスペル、ジャズ あたりになるでしょうか。
これにケイジャン、レゲエ、スカ、沖縄民謡、アフリカ、インド、キューバなど各地のルーツミュージックを取り込み自身の音楽に昇華してきたミュージシャン。
この人の音楽での立ち位置は独特で無二のものです。
本人はきっと自分の音楽ジャンルなど興味ないでしょう。自分にレッテルを貼られることが嫌なのでは?数多ある音楽を音楽ジャンルで区分するということも「そんな必要ある?」と思っているかもしれません。
立ち位置をあえて考えようとすると、そんなことを考えていそうな”立ち位置”にいます。かっこよく言うなら「Ry Cooderという音楽ジャンル」というべきところか。
スライドギターの魅力
Ry Cooderのギターも唯一無二のものです。フィンガーピッキングの人ですが、なんといってもスライドギター(ボトルネック奏法)が秀逸で。この人の代名詞。
彼の代名詞といってもいいスライドギター。だらりとして粘着質な音から、乾いた擦れた音、パキッとした陽気な音、さまざまな雰囲気を持っていて、幅広い音を持つスライドギターです。で、どれもRy Cooderの音です。
たくさんアルバムを出していますが、どれもその頃の彼のチャレンジが個性となって出ていて、どれも新鮮に楽しめます。
フィンガーピックングとスライドが絶妙に絡まってどうやって弾いているのか・・・フレーズが自然と迸り出てくるような。たまにスライドバーがフレットに当たる音までも効果的です。
Ry Cooderのコピーをしようにもマネもできません・・・単音すら同じように弾けませんね。
色々なミュージシャンとコラボレーションしていますが、全てはこの人の個性が先にあってそこに諸々のミュージシャンが参加するスタンス。
通じて、だらりとしたリズム感と乾いた部分はどのアルバムにも見られます。このリズム感は一緒にやることの多いジム・ケルトナーの効果も感じます。乾いた感じは、いくつか参加している映画音楽にもつながっているのでしょう。
何に惹かれるのか?
自分の体の中に流れているる血がどんなものなのか自己探求しそれを音楽というツールを使って具現化しようとしている人 と言う感じがしています。
ミュージシャンはきっと皆そんな感じなのでしょうが、この人はなんとなくショービジネスに媚びないというか。”売れる”ことを考えたらこんな音楽の方向にはいかないかと。
自分がどう言う人なのか、自分の感性は何をルーツにしたどういうもので、それの持つエネルギーを外に解放するには何か手段がないかと考え、幼い頃から親しんだギターというものを手段とした。
そして体の外に滲み出てきたものは、偽りなく自身の感性で自身そのもの。それに惹かれる。表面的なギターのテクニックとか歌声とかに惹かれる以前にそんな幾分スピリティアルな部分に惹かれているような気がします。
Ry Cooderの作る風景に浸る・・・
ビジュアルとの接点〜映画音楽
映画音楽も手掛けています。
ここでも彼ならでは。映画のために音楽を作っているというより、独特な個性はそのまま、映像側がRy Cooderの音楽を必要としていた・・・とのスタンスです。
アーティストという人たちはすごい。感性を音楽や映像など作品という形で具現化できる。で、それぞれ別の分野なのに同じ感性であればコラボレーションができる。一緒になることで感性が明瞭になり、補完しあい、化学反応により思った以上の大きな効果を生み、感動を呼ぶ。
いくつかのウォルター・ヒル監督の映画にRy Cooderは音楽担当で参加しています。「ロング・ライダーズ」「ストリート・オブ・ファイヤー」「クロス・ロード」「ジョニー・ハンサム」「トレスパス」「ラストマン・スタンディング」などなど。
ウォルター・ヒルの少しひねた渋かっこいい雰囲気に効果的に絡まってます。ウォルター・ヒル監督の感性がRy Cooderを必要としていたのでしょう。
Ry Cooderを好きな自分に酔う
まあ、このように信奉しているのですが、Ry Cooderの音楽に惹かれると同時にこの人に惹かれている自分に酔っている面があります。
自分の感性を外に表現する手段を持っていない(持っていれば何かしらのアーティストになっていたわい!)代わりにライ・クーダーという人を借りて表現できないかと。
Ry Cooderの持っている”渋い””枯れた”とか”削ぎ落とされた”とかの形容詞で表せられるものは、私が表現したいものでもあるわけです。
削ぎ落として突き詰めていくと何かにたどり着く、それを求めているのかなあ・・と。本質・存在・哲学・禅・悟り・清貧みたいなもの。
Ry Cooderの音楽にそういう感覚が垣間見えるのかもしれません。
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